刺青除去に付きまとう『ケロイド』のリスクとは
ケロイドとは
火傷や手術などの後に皮膚が赤く盛り上がったものをケロイドと呼びます。
皮膚には損傷を修復する機能がありますが、この機能が過剰に働くことでケロイドとなってしまい、
元の傷跡より大きく広がっていきます。機能が過剰に働いてしまう原因は不明ですが、
ケロイドが出来やすい体質・出来にくい体質があることは分かっています。
ケロイドは自然治癒することなく皮膚に残り続けるので、一度出来てしまうと元のキレイな肌に戻すことは出来ません。ケロイドには見た目だけでなく、痛みや痒みがある他、
肌が引っ張られている・突っ張っている感覚もあるため、出来るだけ避けたい症状と言えます。
刺青除去におけるケロイドのリスク
刺青除去には幾つかの手法がありますが、ケロイドのリスクなしに刺青除去を行う手法はありません。
すべての除去法にそれぞれケロイドのリスクがあります。小さな刺青であればケロイドも出来にくく、出来ても目立ちませんが、大きな刺青を除去する場合にはケロイドのリスクもそれだけ大きくなっていきます。
刺青除去にはこのようなリスクもあるため、後で消えるからと入れてしまうのではなく、消したくなる刺青を入れないようにしましょう。
ケロイドの治療法
ケロイドに症状が似たもので傷跡が周囲に拡大せず、数ヶ月~数年かけて自然治癒していく肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)というものがあります。こちらの場合は時間こそかかりますが、やがて目立たなくなっていくため治療もしやすいです。
ケロイドの手術法は大きくわけて5つあります。
1.手術療法
盛り上がったケロイドを切除し周りの皮膚を縫い合わせる方法ですが、手術跡が更に大きなケロイドとなってしまうリスクもあります。
2.放射線療法
放射線を照射してケロイドの増大を抑える方法で、肥大化する前のケロイドには有効ですが一度大きくなってしまうと効果が薄くなります。
3.ステロイド療法
ケロイドにステロイドを繰り返し注射する方法と、ステロイド軟膏を塗る方法の二つがあります。注射はいわゆる「傷口に塩を塗る」状況になるため強い痛みを伴います。
4.圧迫療法
ケロイドをスポンジのようなもので圧迫することで縮小する方法で、単純ながら効果的な方法です。数ヶ月から半年程度の時間を要するため、他の療法と同時に行われることが多いです。
5・内服療法
トラニスト(リザベン)という内服薬で抑える方法です。効果は肥厚性瘢痕を多少早く治すという程度のものですが、副作用が少ないため用いられています。
どの方法も肥厚性瘢痕に対しては比較的効果的ですが、ケロイドにはなかなか効かないため、まず出来るだけ発生させないよう配慮することが大切です。
ケロイドのリスクをおさえる刺青除去
ケロイドの発生しやすい傷跡として、一方向に張力がかかることが挙げられます。そのため一文字に縫合すると手術後はキレイに見えますが、一定の方向にしか張力がかかりませんので、後になってケロイドに困らされやすいです。
これを避けるための切除法としてジグザグに切除していく手法があります。ジグザグに切除することで一方向からの張力が働くことを避け、ケロイドのリスクを軽減するという刺青除去手術です。また、ジグザグに切除することで傷跡にぼかし効果が働き、傷跡が目立ちにくくなるというメリットがあります。
参考
刺青除去・Dr.境のブログ
ケロイド・肥厚性瘢痕
ケロイドと肥厚性瘢痕
刺青除去の先生たちへ取材!
親身なカウンセリングで刺青治療法を丁寧に説明【大宮中央クリニック】